この一ヵ月,とても刺激的だった。 悪い意味で。 そして同時に,いい意味で。 がちがちに絡まった毛糸のカタマリが,少し,形を変えた。 一本一本がほどけ始めていた糸と糸の間に,目では見えないくらいの,隙間ができた。 橙色や茶色のさびがついて,表面が…
早く着きすぎて,扉が開くまで10分くらい待った。 どうぞと言われて入った待合室で,こちらの問診票を書いてください,3枚目は裏もあるので,そちらもお願いします,と言われた。 問診票を受け取ると同時に,一週間前,私の支離滅裂なメールを見て,短期間で…
こんにちは。 靴と,服を間違えた,しまった。 誰にも気づかれないくらいのシワを眉間に寄せた私に,優しく声をかけてくれた。 その声に重ねるようにして,おなじ言葉が四方から聞こえてきた。 温かい歓迎の言葉を受けていたら,しまったなあ,なんて気持ち…
あそこのお墓,たぶん土葬だよ。 え,うそ,怖い。 地元の岩盤浴に行く途中,家族5人が乗った車の中。 母と弟のやりとりが始まった。 土葬と火葬以外にさ,他に何があるの?水? と弟が聞くので,うん,本か何かで,水葬っていうのがあるって読んだことある…
驚き(おどろき) 悲しみ(かなしみ) 嫌悪(けんお) 緊張(きんちょう) 恐怖(きょうふ) 諦め(あきらめ) 拒絶(きょぜつ) 不安(ふあん) 後悔(こうかい) 失望(しつぼう) 決意(けつい) 喪失(そうしつ) 焦り(あせり) 執着(しゅうちゃく) …
笑わない。 こんな光景は,学校でよく目にしているものだった。 一定の期間が経つと,昨日までと全く違うターゲットになる。 狭い空間で毎日を過ごす私たちにとって,どうしようもない気持ちのはけ口は,一緒に過ごす友人に向けられる他なかった。 誰も,例…
ママね,今休職中なの。 母から電話がかかってきた。 あら,そうなの。 予想していなかった言葉が鼓膜にぶつかり,いつもの「気の利いた言葉リスト」が正常に起動しなかった。 いつから?うーんと,この間の月曜日から。そうか,じゃあ一週間くらいか。 事務…
また。 まるでシナリオか何かが用意されていたかのように。 「奥さんとはどんな言葉を交わされたんですか。」 「今後も結婚生活を続けていきたいと思っていますか。」 センセーショナルに描くメディアにまんまと煽られて、抱きたくもない怒りを覚える自分を…
蒸し暑い日が続いている。 家の外に出た瞬間,そこらに浮いている水の粒が,私の肌にくっついてくる。 くっついて,集まって,流れ落ちる。 どうにもできない感触に,無力感さえ感じてしまう。 毎年この季節が来ると,必ず思い出す植物がある。 中学校の通学…
「ミーンミンミンミンミンミー…」 一昨日,とても嬉しいことがあった。 これまで20数年生きてきて,一度も経験しなかったこと。 この年最初のセミの鳴き声に,気づいたこと。 目覚ましが鳴るよりも前に,近くを通る車のエンジン音と一緒に突然,私の耳に飛…
昼休みに,連休明けの先輩を交えてご飯を食べた。 休みの間に韓国へ旅行をしてきたらしい。 お土産話を聴きながら、なんとももどかしいあの感覚を思い出した。 初めて学校に遅刻した時のこと。 完全なる寝坊である。 起きて目にした時間を理解するのに,いつ…
ねえ,お昼ごはん何食べる? 迷ったらいけないから,と寝る前に決めた時間に家を出た私と妹は,電車に揺られながら今日行くところを考えていた。映画が終わる時間何時だっけ,12時過ぎくらい?うん,確か,と言いながら,昨日予約したチケットの日時が間違っ…
ああもう暑い,久しぶりに会って第一声がこれだった。そうやね,今日確かに暑いね。この前買ったばかりだという大きな黒いリュックを背負ってやって来た妹に,私は当たり障りのないことばを返した。何がそんなに入ってるの,と私が訊くと,そんなに入ってな…
私が見ている,感じている世界は全て映像なのではないか。 こんな感覚に陥ることが度々ある。 今日,玄関で靴をはこうとした時にも,その感覚に襲われた。 玄関で,しゃがんで,靴をはく。 至ってシンプルな行動をしている時に,ふとやってくる。 大学1年生…
最近,よく,夢をみる。 毎日平均2本立て。 朝起きて,食パンを焼いて,コーヒー牛乳を飲むくらいまではなんとなく覚えているから,結構しっかりみているようだ。 私の夢は,「人」が出てくることが多い。 久しく会っていない小中学校の同級生から,その日お…
今週末,私の家に妹が遊びに来る。 その打ち合わせの電話をしたら,彼女の大学生活の話になった。 妹は今大学2年生で,私と同じように実家を離れて一人暮らしをしている。 その妹が,大学の友だちと心の距離を縮められないというのだ。 彼女は「方言で話せ…
今日,夕食を買いに行ったついでに本屋で立ち読みをした。 とある雑誌の「家」の問題についての記事に目が留まった。 “住宅政策”がなんとか。 実は“政策”の類については結構興味があるのだけれど,今日はその前についている言葉が気になった。 「家」ってな…
初めて,ブログを開設。 右も左も分からないことのスタート。 確か中学生のころ,初めてブログの流行りが来たけれど,その子たちのように携帯電話を持っていなかったから「そんなものがあるんや,へー」と思っていただけだった。 その時の私に今を伝えたらな…